株式会社知財アシスト代表取締役・弁理士 小石川由紀乃のブログ記事一覧です。
あけまして、おめでとうございます!
コロナ禍の中での活動もまる2年になりました。
新しい変異株への感染者もじわじわと増え、油断できぬ状況ではありますが、できる限りの取り組みをしてゆこうと思っています。
新型コロナウイルスの問題が深刻化し、第1回目の緊急事態宣言が発令されてから1年を超える月日が経過しました。1年前とは比べものにならないくらい感染が拡大して3回目の緊急事態期間も延長され、医療も経済も非常に厳しい状況にありますが、どちらの問題の解決にも直接に貢献できない身としては、できる限りの感染対策をとりながら与えられた仕事をしてゆく以外にできることはない・・と思って、毎日をなんとか乗り切っております。
4月に入ってはや3日目。
ご近所の桜の木々もすっかりピンク色になりました。
新型コロナウイルスの問題さえなければ、花々の開花やピカピカの一年生たちに心をなごませながら、新たなことにチャレンジする気持ちを高めていたことでしょうが・・・
感染拡大・たくさんの訃報・経済活動の停滞・医療崩壊・感染爆発で都市封鎖も間近?・・・など、連日の報道に不安や哀しみを募らせ、どうしても暗い、後ろ向きな気分になってしまいます。
「リノベーション」ということばを最近よく見聞きします。
「修復」「改善」「刷新」と言った意味合いを持つ英語(renovation)のカタカナ表記です。
専ら、不動産・建築業界で、古びた建物や部屋を見違える状態に変身させることを表す言葉として使われ、はやりの言葉になっていますが、本来の意味はそれに限定されるものではありません。
知的財産の分野でも「リノベーション」と言えるケースがあるなぁ・・と思いあたりました。
もうとうに権利がなくなってしまったアイデアに着目し、その利点を活かしながら新しい観点からてこ入れし、もういちど世に出してゆく・・というケースです。
相当の対価・・・この言葉でウェブ検索をすると、特許法第35条の職務発明規定に関する情報がダダっと出てまいります。
しかし、このブログ記事は、上記のテーマに関するものではありません。
士業・コンサルティング業など、企業の事業活動をサポートすることを業として行う者が、遂行した仕事に対して受けるべき対価について、日頃考えていることを整理して問題提起してみようと考え、自分に馴染みのあるこの表現を使いました。
大阪北部での地震に続き、大雨による未曾有の被害が発生してしまいました。
被災された方々に心よりのお見舞いを申し上げます。
炎天下のなか、行方不明者の捜索活動をしておられる方々、復旧作業や被災者のサポートのために被災地に入っておられる方々には、頭が下がる想いで一杯です。どうか体調を崩されることがないよう、くれぐれも気をつけて作業にあたって下さい。
直接には何もすることはできませんが、こんなときだからこそ、気を引き締めて自身の仕事に精一杯取り組むことで社会に貢献したいと思っています。
医療の分野ではポピュラーになったことば。
広辞苑(第7版)でも
「より良い治療法を見出すために、主治医以外の医者から聞く意見」
というように、医療の専門家からアドバイスをもらう意味合いの用語として扱われています。
上記の意味にあるとおり、
セカンドオピニオンとは、
主治医を変更することを目的とするものではなく、
主治医の治療方針が適切かどうか、もっと別の方法がないかなどを検討するために、
主治医以外の専門家からその判断の材料となる情報をもらう
ということ。
4月に入りましたね。
桜をはじめ、様々な花々が咲き匂い、入学・進学・就職といった人生の節目の想い出もよみがえり、心に浮き立つものを感じます。これを力にして、やろうと思いながら停滞している取り組みを、少しでも前に進めてゆこうという想いも、新たになりました。
CMSというシステムをご存じでしょうか?
Content Management Systemという、ウェブサイト制作用のソフトウェアシステムの略称です。
ウェブサイトを記述するための言語(html、css)の知識がなくとも、CMSのユーザーフレンドリーなインタフェースを利用すれば、高いデザイン性を持つサイトを簡単に制作することができます。最近は、たくさんのCMSサービスが登場しており、無料で利用できるサービスも増えているようです。
実は、弊社のこのサイトも、クラウド型のCMSを利用して制作したものです。
以前、簡単なエディタ用のソフトウェアでhtmlやcssのコードを手打ちしてサイトを作成したことがあり、そのときの苦労に懲りた(笑)ことや、記事の内容に注力を注ごうという方針から、CMSを選択しました。
P社は組み込み機器の受託開発を手がける小企業です。
これまでは顧客からの注文に応じて開発をするだけで、自社製品と呼べるものはありませんでしたが、創業から10年が経過したことを契機に自社独自の企画・開発に取り組もうということになり、役員で技術者のK氏をリーダーとするプロジェクトチームが結成されました。
早いもので、今年も残すところ1ヶ月ほどになり、一年の出来事を振り返る時期になりました。
会社も個人事務所も、業績の伸びはなかなか認められませんが、それでも様々なご縁で出会った方やネット検索で見つけた下さった方からご相談をいただく機会が、少しずつ増えてきました。
今更なにを言うてますねん・・と、自分でつっこみを入れてしまいそうですが、それらのご相談を通じて、改めて相談内容の傾向について気づいたことがあります。
特許の申請(特許出願)の対象となるのは、ある程度のレベルの技術的特徴が認められるアイデアであって、技術的特徴が乏しいアイデアは実用新案登録を選択せざるを得ない・・・
技術的特徴が乏しくともデザインの創作性があれば、そのデザインについて意匠登録を受けるという選択がある・・・
一般的には妥当な認識ではありますが、今回の記事では、
そのように決めつけてしまう前に
特許出願が持つフレキシブルな機能
を活用することを検討してみてはいかがでしょうか?
という提言をいたします。
以前、中小・ベンチャー企業に特許は無用・・・?という記事のなかで、
「中小企業は大企業のように多方面から特許を取得することは難しいかもしれないが、だからといって中小企業が特許をとることが無駄であるということにはならない。
保有する数はしれていても、特許が事業を守る生命線となることも多い。」
という意見を述べました。
この記事とはやや矛盾するように感じ取られるかもしれませんが、今回は、
特許を取得したこと、またはその取得のための手続(特許出願)が、事業活動にとってマイナスの効果をもたらすことがある、
という趣旨の話をします。
日本で現在有効な特許権の中には、実施されることがないまま存続しつづけているもの(いわゆる休眠特許)が相当数あります。
特許権を維持するには、特許発明を実施しているか否かに関わらず、国の定めた一定額の特許料を支払わなければなりません。何らかの形で発明を実施しないと、特許権による利益は全く発生しないので、もったいないことです。
しかし、中小企業の場合、直近に実施する予定の技術に関して特許申請が行われるケースが多いので、休眠になるものは少ないようです。
※平成26年3月に帝国データバンクが出した「中小企業の知的財産活動に関する基本調査 報告書」によると、
中小企業の特許権使用率は63.4%で、大企業の特許権使用率の2倍に近い値とのこと。
分割出願とは、1つの出願の書類の中に複数の発明が記載されている場合に、それらの中の一部の発明を抜き出して元の出願とは別の出願にする手続を言います。
技術的特徴に共通の関係があると認められる発明は、発明毎に請求項を設定することによって、1つの出願にまとめて権利化することができ、そうする方が費用の節約にもなる、という利点がありますが、その思惑どおりにはゆかないことも結構多いと思われます。
たいへん大雑把ですが、下図により、発明Aと発明Bという2つの発明を含む出願を想定して分割出願のオーソドックスな事例を説明してみます。ここでは、発明Aを請求項1、発明Bを請求項2として1件にまとめて出願をしたが、請求項1には拒絶理由が通知され、請求項2には拒絶理由がないと判定された、としています。
1つ前の代表ブログでは、単なる客寄せ目的ではなく、お客さんと向き合う姿勢を重視したポリシーを持つように感じられる格安サービス(5分間100円の御用聞き)を紹介しました。
これに対し、果たしてお客さんの方を向いていると言えるのだろうか・・・と疑問を感じる格安サービスもあります。
残念なことに、私が関わる知的財産の分野でも、ちょっと気がかりなサービスをみかけます。
何やら,たいそうな表題をつけてしまいましたが、これから述べることは、弁理士である小石川由紀乃が自身の経験から培った自己流の読み方であり、決して正しい方法とは言えないことを、初めにお断りしておきます。
しかしながら、特許出願の実体的書類である明細書を読む作業に慣れていない・・という方には参考になることがあるかもしれませんので、該当する、という方は、どうかご一読下さい。
先日、あるテレビ局の報道番組で、「5分100円」で種々の雑用を引き受けるというサービス事業が紹介されていました。昔懐かしい「御用聞き」という文字入りの前掛けをかけて個人宅を訪問し、電球の取り替え、小型家具の組み立て、掃除などの仕事を請け負って遂行するというものです。
果たして5分100円で採算がとれるのか・・・と気になるところですが、若干グレードの高い業務もあり、「5分100円」の御用聞きサービスで知名度や信頼度が高められて、長時間利用やより高額のサービスの受注が増えたようです。みごとに黒字営業となり、新たに人を雇い入れる予定もあると報じられていました。
先日、ブログの再開を宣言しましたが、ブログ以外の記事やサイトの構成も少しずつ更新してゆこうと思っています。
本日は、「助っ人知財部」のご案内ページに掲載しているロゴを、Ⓡ(R)マーク入りのものに変更しました!
ちなみに、商標登録を受けたからⓇ(R)を付けなければならないという決まりはありませんし、Ⓡ(R)マークが登録商標を表す正式な表示として日本の法律で規定されていることもありません。
登録商標であることを簡単に表すことができる便利なマークですが、やたらめったらⓇ(R)付の表記をすることは避けねばなりません。ちょっとお堅い話ですが、付けても良いと言えるのは、登録の対象として指定された商品や役務(サービス)に関して登録された商標そのものを使用する場合のみにすべきと考えています。
詳細は、過去記事(Rマークは万能か?)を御参照下さい。
例年より少し遅い開花でしたが、桜の季節も、どうやら終盤に入ったようです。
季節の移り変わりの早さを感じつつ、本サイトでの情報発信をたいへん長くサボっていることを反省しております。
本当は、年初にトップページを変更したときに、それに合わせたメッセージを出すつもりだったのですが、できずじまい。
先日、ある福祉サービス系企業の経営者のお話を伺う機会がありました。
複数の施設を運営され、それぞれの現場でのスタッフが100名を超えるにも関わらず、管理部門の人員は、社長を入れてわずか2名とのこと。しかし、法務・税務・労務に関して、それぞれ外部のスペシャリストから自社管理部門に匹敵するサポートを受けることで、問題なく、円滑な管理ができているそうです。各々の専門家にはおそらく結構な額の報酬を支払っておられることでしょうが、管理部専従の社員を増やした場合にかかる人件費や、社員の経験が浅くて十分に任せきれない場合に社長にかかる負担を考えると、その道のプロフェッショナルに会社の実情をしっかり把握して仕事をしてもらうことの方が、より合理的で安定した経営を行うことができる・・と判断されたのでしょう。
Bさんは、プラスチック製品の成形加工を業とする小規模企業の経営者です。
主要業務が受託加工ということもあって、これまでに知的財産権を取得する必要性を感じることはありませんでした。
しかし、家族との日常の会話からふとひらめいたアイデアにより、ある生活用品を試作し、その試作品を家族や社員たちに見せたところ、思いのほか高い評価を受けたので、はじめて特許の取得にチャレンジしようか・・という気持ちになりました。
社員たちの積極的な意見を入れて、商品化にもチャレンジしようということになりました。
パン職人のAさんは、15年ほど前に独立し、住み慣れたB市で厨房付きの小さな店を開きました。勤務の傍ら自力で続けた研究・試作の成果を活かしてこだわりの天然酵母パンを提供しようと張り切るAさんは、パンの材料である「酵母」とそのパンを製造する場所を意味する「工房」とにちなんで、新しい店に「こうぼ屋」という名前を付けました。
「店の名前も大事な財産。同業者に同じ名前を使われないようにしたい・・」と思ったAさんは、勤めていた店のオーナーが店の名前を商標登録したと言っていたことを思い出しました。そこで、そのオーナーに連絡をとって、オーナーが利用した特許事務所を教えてもらい、すぐに相談にゆきました。
看板サービスとして掲げております知財よろず相談。
おかげさまで、前々から相談先を探しておられた事業所様やお馴染みの事業所様からぼちぼちとお声をかけていただいて面談をさせていただき、定期面談サービスのお申し込みも承って開始しました。
実用新案は、特許と同様に、技術に関するアイデアを保護する制度です。
「実用」という言葉の影響のせいか、イラストの人物のように、日常の不便を解決する目的で生まれたアイデアやあまり高度とは言えない技術に関するアイデアは実用新案で登録すれば良いとお考えの方が多いのですが、その認識は正しいとは言えません。
昭和の高度成長時代から平成初期あたりまでは、その考えは、あながち間違いとは言えず、実用新案登録の申請手続きはたくさん行われていました。大企業でも、技術内容、事業における重要度、経費、保護が必要な期間などをふまえて、特許と実用新案とを使い分けていたように見受けます。
「登録を受けた商標です」ということを表すために付されるⓇ(R)のマーク。
先日の投稿:「標準文字商標は万能か?」では、標準文字商標で登録されているにも関わらず、標準文字とは大きく異なる形態の商標にⓇ(R)マークを付けて使用していることの危険性について述べましたが、標準文字商標以外の商標であっても、その問題は同じです。
「特許取得!」とうたって売り出されたライバルB社の新商品。
同分野の商品を開発していたA社は大慌てです。
「先を越されてしまった・・・もう開発を中止するしかないか・・・」と落ち込む開発チーム。 しかし「あきらめるな! 研究してなんとか特許権に抵触しないような工夫をしろ!」という社長の命を受け、開発チームは、B社商品を入手して自社のものとの比較・検討を始めました。
しかし・・・
特許申請などの特許庁への手続きを業として代理することができるのは、弁理士個人または特許業務法人という特別の法人です。これらに該当しない者が代理業務を行ったり、特許事務所と紛らわしい名称を使用したりすることは、弁理士法で禁止されています。
弊社は株式会社という普通の法人組織ですので、特許庁への手続きの代理をお引き受けすることはできません。
数年前の話になりますが、実名でツイッターをしていた頃、大企業の知財部員と思われる方(ハンドルネームを覚えていないので、以下A氏とします。)からフォローされ、こちらもお返しのフォローをして、しばらくA氏のツイート(匿名投稿)を閲覧したことがありました。
「知的財産」に関する取り組みというと、特許の申請のような特許庁への手続を連想される方が多いのですが、それは取り組むべきことのほんの一部にすぎません。
他人にマネをされたくないと思ったときに特許等の申請をすれば足りると考えていると、どうしても開発がかなり進んでから(場合によっては開発の成果物が市場に出る直前に)特許事務所に依頼する可能性が高まります。企業側にとっては大変貴重な特許申請でも、特許事務所にとっては、たくさんある依頼のうちの1件・・・しかも、日頃のお付き合いが薄い(または新規の)お客様からの依頼です。特許事務所側の検討時間の不足や理解不足、客の側のチェック能力不足などから、不十分な内容で申請されてしまうおそれがあります。
申請の内容が適切であった場合でも、その後に開発技術の適用分野が拡大されたり改良技術が開発されるなどの状況の変化が生じると、当初の内容では事業を万全に保護できなくなり、補強のための対策が必要になるケースがあります。しかし、特許申請をしたことで満足していると、その必要性は見逃されてしまいます。
独占権を目指すより前に、他社の権利を侵害するおそれがないかどうかに注意をはらう必要もあります。他社製品より優れた性能が搭載された製品を開発し、その新規性能に特許性が認められるとしても、基本的な構成が他社の特許に触れる場合には、新規製品を製造・販売することはできません。開発の過程で他社特許を調査し、危険な特許が見つかった場合にはその権利範囲を回避できる手立てを講じておかないと、あとでエライ目にあうかもしれません。