4月に入ってはや3日目。
ご近所の桜の木々もすっかりピンク色になりました。
新型コロナウイルスの問題さえなければ、花々の開花やピカピカの一年生たちに心をなごませながら、新たなことにチャレンジする気持ちを高めていたことでしょうが・・・
感染拡大・たくさんの訃報・経済活動の停滞・医療崩壊・感染爆発で都市封鎖も間近?・・・など、連日の報道に不安や哀しみを募らせ、どうしても暗い、後ろ向きな気分になってしまいます。
しかし、そんなときでも、世の中には明るい話題を提供できるお方がいるのに気づきました。
発明王のドクター中松さんです。
目・鼻・口を護る機能を持つ「スーパーメン(SUPER M.E.N)」という名のマスクを開発され、販売を開始されたとか。
その「スーパーメン」をかぶった記者会見で、
地球を封鎖して月に人間が移り住むことができるようにする!
という壮大な目的による「月利用システム」という発明で特許を取得した、
という発表もされていました。
この報道を見て、さっそく検索をしてみましたが、「スーパーメン」の前身と思われる特許出願と商品名の商標登録出願を見つけることができただけでした。
商標登録出願の日にち(今年の2月上旬)からみて、どちらのアイデアもごく最近のもので、特許出願はまだ公開されていないのだと思われます(「月利用システム」の特許公報は近日中に発行されることでしょう。)。
「スーパーメン」は、もうあちこちの情報サイトで紹介されていますし、公式通販サイトでも販売されています(注文殺到だそうです)ので、それらや以前の発明の公開特許公報から引用した図面(左または上に表示のもの)で確認していただくとして、少しばかり個人的な感想を述べることにします。
ドクター・中松さんのことですから、「スーパーメン」についても特許出願をしておられる可能性は高いと思いますが、医療用のシールドマスクなどの類似品がすでにあることを考えると、特許の取得は難しそうだなぁと感じました。
しかし、コロナウイルスが猛威をふるうこの世界にとって、「スーパーメン」は間違いなく役に立つ発明品だと思いました。一般のマスクにはない利点(プラスチックフィルムで目・鼻・口をまもる、自然に会話ができる、マスクが透明なので顔が見えるし、化粧くずれの心配がない、マスクをつけたまま食事をしたり、飲みものを飲むことができる等々)も多く、価格も一般人が無理なく入手できる程度の額です。
これが広まれば、感染拡大の防止にかなりの効果が出るかもしれません。
全家庭に2枚ずつ布マスクを配布するより、10代・20代の若者全員に「スーパーメン」を配布した方が(この世代なら面白がって装着する可能性が高いので)、もしかしたら格段に高い効果が得られるかもしれません。どうしても出勤して多くのヒトと対面しなければならない接客業や看護・介護職の方々にも喜ばれそうです。
「SUPER M.E.N.」の
MはMOUTH(口)
EはEYE (目)
NはNOSE(鼻)
をそれぞれ指すのだそうです。
もちろんお面の「面」の意味も含ませての命名でしょう。
一般に、「スーパー」という語はモノの品質を表すもので商標的な機能はないと考えられており、「面」も普通の単語ですが、これらありきたりの2つの語のマッチングでいちど聞いたら忘れられないほどの強いインパクトのある商品名称になっていると感じます。
「メン」を特別な意味合いをこめて「M.E.N.」と表したことも、ナイスアイデアだと思います。
ドクター・中松さん 発明だけでなくネーミングのセンスも抜群ですね!
正直申して、これまでドクター・中松さんの発明に深い関心を持ったことはなかったのですが、今回の発表を拝見して気持ちは変わりました。
「スーパーメン」の前身と思われる発明の明細書の説明のわかりやすさにも感心しました。なんども拒絶理由を通知されながら、諦めずに応答しておられることにも。
なによりも90歳をこえてもなお、社会の問題を解決するためのアイデアを考え続け、実践されるパワーのすごさ。コロナウイルスの問題がクローズアップされた時期に速やかに動かれたご様子に、大いなる心意気を感じました。
「月利用システム」の方は画期的かもしれませんが、直ちに実現できるものとは思えませんし、実現してほしくもないですが・・・ 特許公報が発行されたら、どんなアイデアなのか確認してみようと思っています。
ドクター・中松さんのような閃き力のない凡人の私にできることは限られていますが、不安にさいなまされる日々を過ごしていても、なんの役にもたちません。
せっかく人様のお役にたつことをしたいと思って事業を立ち上げたのだから、
その信念を維持して自分にできることをしっかりやってゆこう・・・
新しいことにチャレンジすることも諦めずにできる範囲で続けよう・・
もちろん、コロナウイルスという目に見えない敵に最大限の注意をはらいながら・・・
と、改めて思いました。
この気持ちは、ドクター・中松さんの発明を知る少し前、毎日新聞の連載コラム「新・心のサプリ」を読んだときに芽生えたような気もします。
筆者の梅原純子さん(心療内科医)が、東日本大震災の被災地で復興のために働いていた方々から聞き取られたことやがんのステージ4の方の生活ぶりを紹介されたあと、このような言葉でしめくくっておられました。
「思い通りにいかないことがある時、なんとかそれを思い通りにさせようと努力することは私たちは得意かもしれない。しかし自分の力でどう努力しても思い通りにならない時、その環境の中で自分のもっているものに気づき最大限にそれをいかすことが不安をのりこえる手立てだと思う。」
(令和2年3月29日発行 毎日新聞 日曜くらぶ 「新・心のサプリ」)
私の親しい友人たちの中にも、ご年配で健康不安を抱えながらも新しいことに全力で取り組んでおられる方がおられます。
その方やドクター・中松さんより遙かに若輩者の私が、コロナによる不安に負けてウジウジしているわけにはまいりません。
枝のない場所からも花を咲かせる桜にも励まされ、
自分にできることのうちの1つとして、知的財産にまつわる話題を提供する取り組みを再開しようと、久しぶりの投稿をいたしました。
単なる駄文では社会貢献の効果はあまりないので、ちょっと目にとめて楽しんでもらえるような「お役立ち情報」を発信することも考えています。
ITツールがあればできることなので、感染して寝込まない限り、
コロナを「しないことの言い訳」にはできないですね。
株式会社知財アシスト
代表取締役 小石川 由紀乃(弁理士)