もう5年ほども前のことになります。
大勢の人が行き交う阪急うめだ本店前のコンコースで、柱の陰にしゃがみこんで電話をしているスーツ姿の女性をみかけました。
営業職らしいその女性は、自分のひざの上に紙を広げてメモをとりながら小声で一所懸命に話をしていました。周囲の音の影響で先方の声も聞き取りづらいでしょうに、よほど急ぎの要件で落ち着いて電話ができる場所を探す余裕もなかったのかも知れません。
なんとも気の毒な光景でした。
このとき、すでに、後述するビジネスモデルの原案が頭にあった私は、この女性を見て、
「こんな人の役にたてるよう、なんとしてもこのビジネスモデルを実現させたい!」
と強く思いました。
その後も似たような光景に遭遇する都度、また自分自身も出先で電話をかけねばならない事情が生じる都度、その思いが蘇りました。具体的なチャレンジを開始してみると、とてつもなく大きな壁があるとわかり、何度も挫折しかけましたが、不思議なご縁で繋がった方々からお力添えをいただき、細々ながらもアイデアを具現化させるための取り組みを続けてまいりました。
メールやSNSが主要な連絡手段の地位を占めるようになったとはいえ、急ぎの連絡やこみいった内容の相談などをする必要がある場合には電話が欠かせません。
しかし、多くの人が行き交う場所はどこもかしこも賑やかで、相手の声が聞き取れず、自分も大声を出さないと相手に伝わらないなど、通話に支障が生じることが多々あります。
また、仕事関係や重要な要件の電話では、冒頭の話の女性のようにメモをとったり、資料やパソコン操作をしながら話をする必要がある場合が多く、それらの作業が容易に行える環境が必要です。
他人が映り込まない場所でラインやスカイプなどのビデオ通話を行いたい人もいることでしょう。
人に聞かれたくない話だが、できるだけ早く連絡をとらなければならない・・というような事情を抱えた方もおられると思います。
電話やビデオ通話に限らず、移動中に入ったメールに急いで詳細なコメントを返したい人、スマホに入ったメールに添付されている資料をパソコンの画面でしっかり確認したい人など、重要または緊急性の高い作業をするのに適した場所を探している人も、きっとおられるはずです。
これらの事情を抱えた人たちに、
落ち着いて電話やメール連絡や事務作業などを行うことができるスペースを形成するブースを、
予約や会員登録の必要なしに、少しだけ料金をお支払いいただくことで、
誰でも利用できるようにする仕組み・・・
これが弊社・知財アシストが考えたビジネスモデルです。
「ここで電話できるよ」というメッセージを込めて、
ブースの名前を「ここでん」(漢字表記は「此処電」)と名付けました(商標登録済みです。)。
コロナ禍でテレワークが推奨されたり、感染予防のために緊急事態宣言が何度も出されたり延長されたりしても、一向に減らない人流の中には、動かなければならない仕事や大事な用事を抱えている人がたくさんおられると思います。それらの人たちの中には、電話やメールでの連絡や短時間の作業をするための場所を探している人が、少なからずおられるはずです。
弊社のビジネスモデルは、これらの方々が抱える不便を解消して活動しやすい世の中を作ると共に、多くの人が行き交う場所でも密にならない環境に一定時間留まって電話やPC作業を行えるようにすることで、感染対策にも貢献できるものです。
コロナ禍で停滞した経済活動を活性化させるには人々が活動しやすい社会にする必要があり、そのためにも、できるだけ早く、このブースのプランを実現させたいと思っています。
あるお方の問題提起から浮かんだ思いつきにすぎなかったアイデアが、ソフトウェア関連発明として特許を取得できるまでの内容に進化し、その特許発明をベースとする管理システムを入れたモデルブースも、このたび完成しました。
資金も開発能力もない超零細の弊社がここまで進むことができたのも、「ここでん」のコンセプトに共感して下さった大勢の方々の声援やお力添えのおかげです。
皆様に、心よりの感謝を申し上げます。
さらに先に進むには、もっと大きな力が必要です。
実際のビジネスを担っていただくための力もですが、
「ここでん」があると助かるのになぁ・・・
「ここでん」を早く利用したいなぁ・・・
というつぶやきも、実現可能性を大きく膨らませる力となります。
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株式会社知財アシスト 代表取締役 小石川 由紀乃