公開特許公報とは、出願の内容、つまり特許申請のときに特許庁に提出された書類の内容を公開するための刊行物です。
(特許された発明が公開されたものではなく、出願の公開です。)
通常は、特許出願の日から1年6ヶ月が経過したことをもって発行されますが、それより早く公開してほしいという請求がなされた出願や特殊な出願(国内優先権主張出願・分割出願など)に関しては、より早い時期に公開特許公報が発行されます。
左に示すのが、公開特許公報の第1ページ(フロントページと呼ばれるもの)です。このフロントページの右上に記されている特開という文字と2種類の数字(年号ー通し番号)との組み合わせが出願公開番号と呼ばれるものです。
出願公開番号の下には公開日が記されています。
出願公開番号は、かつては、年号部分が、昭和の昭や平成の平を付けた和暦表示(たとえば特開昭61-12345,特開平5-12345)になっていましたが、2000年より西暦表示に改められ、特開2016-12345のように表記されるようになりました。
フロントページの上半分には、出願番号、出願日、出願人、発明者などの諸情報(書誌情報と呼ばれています。)が掲載され、下半分には発明の名称と、要約および代表図面が掲載されます。要約は、発明のアウトラインを把握できるように、発明の課題とその解決手段とを簡単にまとめたもので、代表図面と共に掲載されます。
公開特許公報の2ページ目からは、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、図面という順に、出願の実体的な書類の内容が掲載されます。これらは、出願人または代理人により作成され、願書に添付されて特許庁に提出された書類にあたります。
特許請求の範囲は、出願人が独占権の付与を求める発明を示す最も重要な書類(特許された暁には独占権の範囲を表すものとなる。)で、請求項という単位毎に発明を表現することになっています。
発明の詳細な説明は、文字どおり、特許請求の範囲に記載された発明の詳しい解説書です。特許法上は明細書と呼ばれる書類であり、【技術分野】【背景技術】【発明が解決しようとする課題】【課題を解決するための手段】【発明の効果】【発明を実施するための形態】などの項目が設けられて、文章による説明が展開されます。最も重要なのは、【発明を実施するための形態】に記載される発明の具体例(実施例と言われます。)です。
図面も、殆どが実施例を視覚的に表したものですが、従来例を表す図が含まれる場合もあります。ただし、図面は必須の書類ではなく、図面を用いずに、明細書中に表やグラフなどを挿入して説明が行われる場合もあります。
特許・実用新案関連のその他の公報の仕組みも、公開特許公報と同様です。
特許請求の範囲は、取得したい権利を意識して広い概念が表されることが多く、しかも通常とは異なる特有の言い回しや抽象的表現が含まれることがあるため、一読しただけでは意味がわからない・・・というケースが多々あります。明細書も同様で、冒頭から順に読み進めるのは非常に困難なことがあります。
公報を読むことに慣れていない方は、下の記事を合わせてご参照下さい。