砂栽培農法について (その1)

1.砂栽培農法とは?

 砂栽培(高床式砂栽培農法)ってご存知でしょうか。

 腰程度の高さの高床の上に、15cm程度の砂床をつくり、その上で農作物を育てます。

 液体肥料を水で希釈して、タイマーで定期的に農作物に与えます。

 とてもクリーンで、作業も楽な上、高品質な農作物が安定的に生産できます。

 

2.従来の農業(土耕栽培)との比較

  (1) 高床式の良さ

地面にじかに農作物を植える場合、作業のたびに立ったり屈んだりしなければなりません。

これは、思いのほかに過酷な重労働です。

実際に試してみたらわかることですが、高床式にするだけで、農作業が驚くほど楽になります。

  (2) 土と砂の違い

 土は、その土地によって異なります。その土地の土にあった農業のノウハウが必要です。

一度農作物を生産するだけで、土は異なったものになります。だから連作障害が起こるのです。

また、農作物を収穫した後の、根を含めた土の処理も大変な労働です。

「耕す」という作業も、土の農業を難しくします。

 

高床式で、土を使った農業を行っている農家もあります。

立ったり屈んだりの重労働からは解放されますが、土を扱う上での苦労からは解放されません。

  

一方、砂栽培は、全国各地、どこででも同じように農作物の栽培ができます。

気温と日照時間によって、農作物の成長具合は変わりますが、最終的に高品質な農作物が手に入ります。

砂は、農作物の発育にとってプラスになるものも、マイナスになるものも含んでいません下の補足説明をご参照下さい)。

従って、液体肥料を水で希釈して、タイマーで自動的に農作物に潅水してやる必要があります。

殺虫剤や除草剤のような農薬を散布する必要性は全くありません。 

 ≪砂は、農作物の発育にとってプラスになるものも、マイナスになるものも含んでいない≫

  土には、細菌、微生物、葉・茎・根などの有機物、残留農薬、肥料の残り等が含まれています。

  しかも、その土地によって、含まれているものと、その比率は異なります。

  また、同じ土地でも、一度農作物を生産すると、生産前の土とは異なった土に変化します。

  土の上での農業は、そういった非常に複雑な環境下で、経験を頼りに行っているのが現状です。

 

  しかし、砂には、細菌、微生物、葉・茎・根などの有機物、残留農薬等は一切ありません。

  以前に農作物を栽培した時の肥料の残りがあるとしてもごくわずかで、

  砂の上から水を掛ければ、肥料の残りは、砂の層を通って砂床の下に流れ落ちます。

  従って、砂栽培では、毎回、白紙の状態から農作物を育てることができます。

  土の上での農業が非常に複雑な環境下で行われるのに対して、非常に単純な環境下での農業です。

  そのため、どこで誰が行っても、高品質な農作物を安定的に生産することが可能です。


(3)  土へのこだわりについて

 

「農業は土が最も大切な要素である」と主張する、土へのこだわりを持った人たちがいます。

しかし、その人たちに、「土が必要な理由は何ですか?」と聞いても満足な答えは返ってきません。

 

 私は以下のように考えました。

 

 植物が土の上に生えるのは、しっかりと根を下ろし、雨や風に対して踏ん張って身を守ることと、

 土の中に含まれている、水分や養分を吸収するのが目的である。

 それでは、雨や風に対して踏ん張る必要がなく、水分や養分が自動的に与えられる環境下で

 本当に土が必要なのだろうか。

 

 そして、興味深い仮説にたどり着きました。

 

 植物の根が欲しがっているものは、「水」「養分」そして、「空気」。

 土は、その「空気」を阻害している要因ではないだろうか。

 上手く調整された土の場合、植物は根からいっぱい「空気」を吸えるので喜んでいる。

 「空気」を余り含まない土だと、植物の根は呼吸困難で苦しんでいる。

 植物が根から「空気」を吸えなくなると、根腐れを起こして、植物は死んでしまう。

 砂栽培だと、砂の粒子の間に「空気」が満ち溢れているので、植物はとても喜んでいる。

 

 あながち間違っていないと思います。

 

(4) 従来の伝統的な農法と砂栽培との決定的な違い

   ○ノウハウ

 従来農法はノウハウの塊です。

 土を耕すところから、肥料や農薬の与え方まで、高品質な農作物を生産には多くの知識が必要です。

 特に土にこだわった農法の場合、更に、そのノウハウは複雑になります。

 一方、砂栽培では、簡単なマニュアルがあれば、誰でも高品質な農作物が作れます。

 

  ○仕事のキツさ

 従来農法は、キツい、汚い、危険の3Kから逃れられません。

 一方、砂栽培は、お年寄りでも、車いすのかたでも、簡単に作業ができます。

 

  ○生産性

 従来農法は土づくりから始めないといけないので、5作が限度です。

 また、天候に左右されるので、安定生産が難しい面もあります。

 一方、砂栽培では、収穫後、根を指で摘まみ出し、手のひらで砂を平らにするだけで、

 次の農作物を植えることができるので、10作以上が可能です。

 基本的に、温室やビニールハウスの中で農作物を栽培する手法なので、安定した生産が可能です。

 

3.砂栽培農法のメリットを整理します

 

≪農業家にとってのメリット≫

(1) 農耕機械が不要で、ランニングコストが安くて済みます。

(2) 農業に対して初心者であっても、安定生産が容易に出来ます。

(3) 作業者にとって、非常に楽に農作物を生産できる農法です。

(4) 高品質な農作物が安定的に生産できるので、安定供給が可能です。

(5) 経営計画を立てやすい農法です。

 

 

≪消費者にとってのメリット≫

(1) 安全・安心な農作物が手に入ります。

(2) 栽培の経緯が保存されることで、確かなトレーサビリティーが得られます。

(3) 合理的かつ安定的な価格で農作物を買うことができます。

(4) 鮮度保持能力が高く保たれます。

(5) 個人的嗜好にもよりますが、野菜らしい味がするとの評価が高いです。

 

 次回は、今後の砂栽培農法のゆくえについて整理してみるつもりです。

 

松本圭介(株式会社知財アシストアドバイザー/有限会社エイエムアイ代表取締役)

松本圭介のプロフィール

1955年大阪府泉大津市生まれ。現在、豊中市在住。
  東京大学工学部卒業。東京大学工学系大学院修了。
  約15年間の会社員時代に、機能性セラミック、強化プラスチック、液晶ディスプレイなどの技術開発・商品開発を手がけ、管理業務や営業業務も経験。
  その後独立し、様々な技術開発、商品開発、マーケティング、ビジネスプラン構築、知財戦略に携わる。、幅広い技術的知識を持ち、ものづくり補助金申請書作成支援のスペシャリストでもある。
    人脈も豊富で、月に一度、「未来工房」という名称の勉強会を主催している。


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