特許調査を始める前に仕入れておきたい基礎知識 (1)

なにを対象に調査をするのか?

  「特許」という言葉の本来の意味合いは、新規の発明(技術的アイデア)に独占権を与えるということですが、特許の対象である「発明」全体を表す言葉として使用されるケースも多く見受けられます。

 

この技術に関する特許を調べたい・・・

あの会社の特許のリストが欲しい・・・

 

というような言い回しで「特許」という言葉を使用するときも、その殆どは、独占権が付与された発明だけでなく、特許出願中や死滅した出願・権利を含む広い範囲の発明を指して「特許」と言っているように思われます。

 さらに、実用新案登録されたものも含めて調査する必要が生じることも多々あります。

 

 特許調査の対象となるのは、過去の出願や権利の内容を公開した公報と呼ばれる刊行物です。

 特許庁に提出された特許・実用新案の書類は、早期に放棄または取り下げられたものを除き、一定の期間の経過後に全て公開され、J-PlatPatのデータベースに格納されます。

 「公開特許公報」「特許公報」「登録実用新案公報」など、複数の種類の公報があります。

 

 特許調査では、目的に応じた種別の公報や調査の対象期間を定めて検索を行った後に、ヒットした公報の内容を確認しなければなりません。公報の確認は結構骨の折れる作業ですが、これをしなければ特許調査を遂行することはできません。

 

 特許調査をしようとお考えの方は、まず、公報とはどのようなものかを知る必要があります。 

 そのご理解の一助として、主要な公報の種類や概要について以下に解説します。 

 


公報の種別

公報とは、特許庁により発行された刊行物です。

 特許、実用新案ともに、出願の際に提出された書類の内容を公開する目的で発行されるものと、権利が認められた内容を公開する目的で発行されるものとに二分されます。これらの中から、調査の目的に応じた公報種別を選択して検査を行う必要があります。

  代表的な公報は、右または下の表に示す6種類となります。

 これらのうちの赤字で示したものが現在発行されている公報です。

公報一覧

公開特許公報

  特許出願の内容を公開した公報です。 

 公開特許公報のフロントページ
 公開特許公報のフロントページ

 

 原則として、特許出願の日から1年6ヶ月が経過したことをもって発行されます。

最初のページ(フロントページ)には、書誌事項・要約・代表図面が掲載され、2ページ目以降に、特許請求の範囲および明細書の全文、すべての図面が、順に掲載されます。

 

 特許調査の対象として必須の書類といっても過言ではありませんので、別途、公開特許公報に関する解説記事をまとめました。

 

公報をご覧になった経験のない方、仕組みが良くわからないという方は、

 解説記事:公開特許公報とは? を合わせてお読み下さい。

特許公報

 特許が付与された発明の内容を公開した公報です。

 第1ページ目の右上に特許番号が記され、中央以下に、特許請求の範囲が掲載されます。

 

 体裁は公開特許公報に似ていますが、特許公報に掲載される特許請求の範囲は、特許を受けた発明の内容を示す書類、つまり権利書としての機能を持つ書類です。

 権利の内容を詳細に検討する必要がある調査では、特許公報を検索の対象として、特許請求の範囲の記載を確認しなければなりません。

 

 

  ちなみに、現在の特許公報は、特許権の設定登録後に発行される特許掲載公報と呼ばれるものですが、平成8年3月末までの特許公報は、出願公告という制度に基づき、設定登録が行われる前に発行されていました。

  出願公告制度による特許公報(現在の特許公報と区別するために「公告公報」と呼ばれる場合があります。)には、「特公昭63-×××××」「特公平4-×××××」という形式の番号(公告番号)が付されています。

 

 公告公報により公開された特許発明で権利が存続しているものはないと思われますが、権利の有無を問わずに先行技術を探したい場合には、公告公報も検索の対象となり得ます。


公表特許公報・再公表特許

 これらは、特許協力条約の加盟国を対象にしたPCT国際出願という制度により加盟各国を対象に出願された後に、日本国への移行手続きが行われた特許出願を公開する刊行物です。

 公表特許公報は、日本語以外の言語によるPCT国際出願(殆どが外国人による出願)で、日本国への移行の手続時に提出された翻訳文(日本語)を公開したものです。公開特許公報と同様の体裁ですが、公報番号の頭につく文字は、特開ではなく、特表となります。

 

 PCT国際出願は国際公開という制度により公開されるので、日本語によるPCT国際出願については国内向けの公報は発行されていませんが、調査の便宜等を考慮して、再公表特許という名称の刊行物が発行されています。公報ではないため、PCT国際出願の国際公開番号(WO××××/××××××)をもって公開されています。

 

 公開特許公報、公表特許公報、再公表特許のフロントページ。いずれも、日本国への特許出願の内容を公開したもので、検索の対象として意識する必要があります。


 <登録実用新案公報

 登録実用新案公報は、実用新案権が付与された考案の内容や実用新案権者などを公開するものです。

 

ただし、現在の実用新案は、実体的な審査を行うことなく登録されるため、実質的に、出願の内容を表すものとなります。

 形式的にも、公開特許公報と同様に、フロントページに、書誌事項、要約、代表図面が掲載され、2ページ以降に、実用新案登録請求の範囲、明細書(考案の詳細な説明)、図面が順に掲載されています

 

実用新案に関するその他の公報

  特許と同様に審査が行われていた時代の実用新案(平成5年12月末までの出願)に関する公報は、公開実用新案公報、実用新案登録公報、実用新案公報の3種類です。

  公開実用新案公報は、公開特許公報と同様の位置づけのもの(出願書類の公開)ですが、明細書全文は含まれていません。J-PlatPatで明細書の内容を確認するには、公開実用新案全文明細書を指定した番号検索をする必要があります。

 実用新案公報は平成8年3月末までの出願公告制度に基づき発行された公報(公告公報)で、実用新案登録公報は平成8年4月以降の実用新案権の設定登録後に発行された公報(登録公報)です。旧制度の実用新案権はすべて消滅していますが、権利の有無を問わずに先行技術を探したい場合には、検索の対象となり得ます。

J-PlatPatの公報表示画面
  J-PlatPatの公報表示画面

J-PlatPatの公報表示画面

 J-PlatPatでは、項目表示と呼ばれる切替式の公報表示画面(右図または上図を参照)を採用しています。

 冊子形式の公報は、画面右上の文献単位PDF表示というボタンをクリックすることにより呼び出すことができます。

 

特許検索いろは講座・記事一覧

  特許調査を始める前に仕入れておきたい基礎知識

(1)  なにを対象に調査をするのか?

(2) 公開特許公報とは?

(3) 検索のための3つの演算ルール AND・OR・NOT

 

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