国際的な商標問題に気をつけたい!

 先日、jetro主催の「中小企業のための模倣品対策セミナー」があり、参加した。

 そのプログラムの最終部分で、jetroの知的財産アドバイザーより、模倣品対策と共に商標に関するかなり具体的な事例紹介とリスク管理についての示唆がなされた。

 模倣品については、中国生産→ヨーロッパ販売、商標の登録国などについても言及があり、参加者からは、「どの国まで商標登録をすればいいのか判断がつかない」といった発言も出て来た。

 ご承知のように商標登録は、国単位での登録であり、この間に問題になってきた中国での対策は、いかに早く登録するかの方向の話が多かった。

 しかし、国際化すると、どこの国で、誰が商標登録をするか解らない。

 このような問題に関連する話題として、筆者が知る某企業(仮にX社とする。)から聞いた本当の話を紹介したい。


友好的な相手と交渉が成立?

 X社はアメリからの技術を積極的に導入し、OEMメーカーとして健全な事業を行ってきた。60年を超える社歴を持つ。

 ある段階からOEMに加え、自社ブランドも立ち上げた。堅調に売り上げを伸ばし、海外への輸出も行ってきた。

 某国では、その国の代理店(仮にA社とする)が頑張ってくれ、販売も好調であった。

 ただしこのA社との販売代理店契約は、地域や商標についての取り決めもなく、単に友好な関係を維持することを目的とするものであった 。

 

 ある時、アメリカで行われた展示会に出品し、好評を博した。そこにヨーロッパのある生産・販売企業(仮にB社とする)がブースを訪れ、商談が進み、取引が始まった。

 その後、B社からX社のブランド・商標を買いたいとの申し出があり、X社は、具体的な条件の詰めに入り始めた。

 ところが、このときにアメリカで既にX社のブランド名が商標登録されていることが判明。

 A社が自社のブランドとして登録していたのである。

  B社との交渉は、これを解決することが条件となったが、当然の事ながら、ブランド価値は下がり、不利な交渉となった。

 その後、約2年をかけ、A社のアメリカでの商標登録を無効にすることができたが 、大変な価値の目減りとなった。


 以上が概要だが、中国での商標の問題以外に、友好的に見える相手であっても上記のような信義則に反する行為を平然と行うケースがあるということにも留意して、商標の問題を捉える必要がある。

 

 自己防衛的に世界の国々に商標登録をしておく必要はあるものの、闇雲に登録すれば、費用も労力もかかる。

  しかし、マーケットになる可能性がある国に関しては、何とか商標登録をして将来に備えたいものである。

 友好的だが腹の中を見せない企業にも気をつけねばならない。契約の内容もよくよく検討する必要がある。

株式会社知財アシスト アドバイザー 米谷 政勝

★★★ 知財よろず相談部より補足 ★★★

 米谷アドバイザーが指摘するように、自社ブランドで海外進出を検討する場合には対象となる国での商標登録を受けてブランドを保護する必要があります。対象となる国を絞り込むのが難しい場合や費用の負担が重いと感じる場合には、マドリッド協定議定書(通称マドプロ)に基づく国際登録の制度を利用することを検討してみて下さい。

 国際登録といっても決して全世界的な独占権が得られるわけではありませんが、出願時に指定した加盟各国に個別に商標登録の申請をしたのと同じ効果を得ることができ、それらを一元管理することができます。申請の際に指定しなかった国についても事後の指定によりその国に直接に商標登録申請をしたのと同じ効果を得ることができます。

 ただし、商標の国際登録は日本国での商標登録または商標登録出願を基礎としてなされるもので、申請する対象の商標は基礎となる商標と同一でなければなりません。指定できる商品やサービスも基礎登録または基礎出願の指定の範囲内となります。

 詳細な情報を確認したい方のために、特許庁が出しているリーフレットをご案内します。 下のリンクボタンからアクセスして下さい。

米谷政勝のプロフィール

一橋大学商学部卒。
 大手プラントメーカーで発電プラント輸出営業ほか、国内外のプラント事業に従事。特に海外において、資材調達、輸送計画、契約などの経験を積み、技術に関する見識も豊富。
役職者としてのキャリアも長く、幅広い人脈を持つ。
現在は、中小企業のサポーターとして、海外事業展開支援を中心に様々な事業活動をアシストしている。
専門分野機器輸出入、海外契約、海外調達、経営計画


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