台湾に残る戦前の産業資産

 前回の続きを書こうと思っていた矢先、急に台湾に打合せのため出張することなり、台南から高雄に移動の途中、旗山という街に立ち寄り、日本の戦前の産業史に触れたのでこれについて書いてみます。   米谷 政勝


 日本統治下の台湾製糖業と輸送力増強

台湾・糖鐵故事館(旧旗山駅)
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 旗山は、現在、台湾高雄市の直轄区。

 写真は、日本統治時代に作られた旗山駅。

 製糖業の中心地区に建設された駅で、この建物を使い「糖鐵故事館」として展示館となっています。

 

 同館のホームページでは以下の通り説明しています。

 明治43年(1910年)8月20日、高砂製糖株式会社の糖業鉄道、九曲堂-旗尾間が開通しました。

筆者注:「高砂」は、「台湾」を意味します。)

  蕃薯藔駅(旗山駅)の駅舎は大正2年(1913年)から大正4年(1915年)にかけて建てられました。ヨーロッパの童話に出てくるような八角錐の屋根が特徴的な建物ですが、切妻屋根や妻壁、駅舎内部の構造は日本の伝統的な建築様式で、特に当時流行していた「はかま腰屋根」は日本建築独特の風格を感じさせます。このように旗山駅は当時の建築技術の粋を集めた和洋折衷建築で、独特な存在感を放つその可愛らしい建物は今も人々の目を楽しませてくれています。

 かつて駅舎の前後には「五分車(軌間が国際基準の約半分の軽便鉄道)」が敷設され、駅の後方にあった線路が東方向に伸びる主要な線路で、旗尾製糖工場を通り終点の美濃竹頭角庄まで通じていました。また南方向へは九曲堂庄まで開通し、ここで打狗(高雄)、そして台湾全土に通じる縦貫鉄道と接続していました。

 当時、蕃薯藔駅(旗山駅)はこの路線で最も重要な貨物運輸の拠点で、近代の旗山発展の歴史に重要な役割を果たしました。        糖鐵故事館ホームページ(日本語版)「旗山駅の歴史」より)

台湾における日本の製糖業

 ウイキペディア等のWeb情報を参照して、以下のとおりまとめました。

 日本統治時代の1901年、総督府は後藤新平の主導の下、三井財閥及び鈴木藤三郎などの資本と400名の技術者を導入して橋仔頭に新式製糖工場を設立、短期間に生産量を10倍に増大させました。また第一次世界大戦の影響で台湾の砂糖の国際価格が良好なこともあり、1920年代にかけて台湾製糖業の最盛期を迎えました。

 1900年、橋仔頭製糖工場施工前、総督府は駅や郵便局などのインフラを整備し、橋仔頭地区に交通革命を与えました。

 1901年2月、台湾初の全鉄筋構造による製糖工場が操業開始すると、道路や鉄道貨物支線などの整備が行われました。

 1903年、牛の牽引による軽便鉄道が橋仔頭に敷設され、4年後には甘蔗専用の五分仔鉄道として正式に開業しました。

製糖工場関連工場が多く建設されたが、その中でも旗山地区は製糖の中心を占めました。旗山糖廠は1908年に日本高砂製糖株式会社により設立され、操業初期は毎日1,000tの甘蔗を搾出していました。

 翌年には塩水港製糖株式会社と合併し、台灣製糖株式会社旗尾製糖廠所と改称、同時に白砂糖の製造を開始し、日産1,800tを記録しました。また1910年には旗山駅が設置され、この地区の砂糖の大量輸送を実現しました。


日本の台湾統治における産業近代化と集中投資

 日本の戦前の台湾統治については、いろいろな議論がありますが、今回の展示館を見学しての感想は、産業における効率化と近代化への日本の力です。

 このような産業近代化の歴史をみるときに、見過ごされやすいのは、これを支える人材の育成です。日本の台湾統治では、学校教育に熱心であったことがいろんなところで報じられます((注)筆者の記憶では、30年前の最初の台湾出張で、大陸出身の人と台湾現地の社有車運転手が言葉が通じずに、日本語で話していたことを思い出します。それくらい、日本語での教育が普及していたのだと思います。 )

 近代的な工場では、現在で言うマニュアル、技能訓練が前提になります。上級スタッフの能力開発も重要です。 このような事を台湾で為し遂げて来た先人には、敬意を表さざるを得ません。

 次の写真は、この旗山の町並みです。

 台湾総督府の統治責任者が呼びかけてきれいな町並みを作ったそうです。

 戦前の人たちの方がロマンがあったのかなあ、国際人だったのかなあ、と感じた次第です。


 

 尚、この近くに「美濃」という客家の街があり、そこに岐阜県の人たちが移り、産業を興した話があります。

 機会があれば、報告します。

(株)知財アシスト アドバイザー 米谷 政勝

米谷政勝のプロフィール

一橋大学商学部卒。
 大手プラントメーカーで発電プラント輸出営業ほか、国内外のプラント事業に従事。特に海外において、資材調達、輸送計画、契約などの経験を積み、技術に関する見識も豊富。
役職者としてのキャリアも長く、幅広い人脈を持つ。
現在は、中小企業のサポーターとして。海外事業展開支援を中心に、様々な事業活動をアシストしている。
専門分野機器輸出入、海外契約、海外調達、経営計画


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