古代から人間のもつ何がしらの周期性は運勢などとして根付いてきました。中国で普及した易学は、自然界の物はすべて陰と陽で出来ており、この陰陽の組み合わせで過去、現在、未来を読み取れるとされてきました。
日本では人生の節目を厄年として忌み慎む習わしがあり、数えで男性は25歳、42歳、61歳、女性は19歳、33歳、37歳が厄年に当たり、中でも男性の42歳と女性の33歳は大厄として体調的にも精神的にも危ない年とされ、厄払いのために祈祷を受けるなどの習慣があります。
西洋においても、占星術は無数の星の一つ一つが個々の人間の運命と関連しているとされ普及しました。現代科学でも太陽の黒点活動が気象だけでなく経済活動にも影響を与えると言われます。
男性の厄年の一つである数え61歳は満60歳であり、還暦としてお祝いをします。還暦は干支(えと)に基づいており、10種類の干と、12種類の支の組み合わせは60種類あり、10干12支の組み合わせが一巡する60歳が還暦の意味です。西洋においても60歳のお祝いとしてダイヤモンドを贈る習慣が一部にあるようです。

ところで、20世紀のはじめにドイツの耳鼻咽喉科・外科の医師W・フリース(写真)が、患者の容態変化から23日の身体周期と28日の感情周期を見出しました。1920年には、オーストリアのA・テルチャー工学教授が学生の成績変化に33日周期の相関があることを発見し、これにより生誕日を基点として異なる3つの周期(身体周期、感情周期、知性周期)からなるバイオリズムが提唱されました。
各リズムは、生まれた日を基準とする同じ振幅の正弦波として表されます。
個人のバイオリズムは誕生日を入力してExcelで簡単に計算できます。
Excelでは日付計算は1900年1月1日を起点として、年月日のシリアルデータを計算しています。ちなみにMac版では起点は1904年1月1日を起点0として計算しています。この両者の起点の違いには深い意味がありますが、それはまた後日として、筆者の今後半年のバイオリズムを計算してグラフにしてみました。
バイオリズムの身体周期に関する計算では誕生日からの日数を23で割り、その剰余(余りの数)÷23から三角関数sinθに代入して係数を演算します.(Excelの三角関数ではθ部分はラジアンなので注意)。同様の手順で感情周期は28で割った剰余、知性周期は33で割った剰余から求めます。グラフではそれぞれの値が、プラスの日が高調期、マイナスの日が低調期、ゼロ周辺の日が不安定期となります。
上のグラフは、筆者の身体、感情、知性の3つの正弦波を個別に表したものです。これら3種類の正弦波を加算したものが次のグラフになります。
個人の活動としてはプラスになる山の期間は積極的に、マイナスになる谷の期間は慎重に、ゼロを横切る前後の期間はより慎重に活動するのが好ましいと思われます。
蛇足ですが、三つのサイクルが誕生した時の初期値に戻るのはそれぞれの基本周期である23日、28日、33日の最小公倍数である21252日であり、これは58.2年となります。東洋の干支60年サイクルに近くなっているのは意味深いですね。
特許の観点で見ると、数学公式は自然法則を用いていないので対象外ですが、バイオリズムを組み入れた機器や表示など出力手段は対象となると思われます。
1975年にカシオ計算機がバイオリズムを表示する電卓『バイオレーター』を発売していたことを思い出し、特許情報システムJ-PlatPatで検索してみると、10件がヒットしました。時計や表示機能を持った携帯電話、その日のバイオリズムをカード情報から計算したレシート出力装置などが出願されており、そのうちの2件が特許されています。
株式会社知財アシスト アドバイザーS
★★★ 知財よろず相談部より補足 ★★★
J-PlatPatで会社名により検索できるのは、特許情報が電子化された1993年(平成5年)以降に公開された情報(旧制度の実用新案および特許の出願公告については1986年(昭和61年)以降から)であり、記事中の検索では1975年当時の特許出願を確認することはできませんでした。

アドバイザーSのプロフィール
学歴: 同志社大学大学院修士課程終了
職歴: ㈱パナソニックにて機器開発と半導体
開発に従事
専門分野:アナログ電子回路開発、データ処理技術、
技術英語
趣 味: 街歩き
本人の希望で匿名の投稿にしています。