オリンピックのメダル数とGDPは累乗近似する

 リオのオリンピックが終わりました。

 始まるまではブラジルの政治混乱、治安の悪さ、会場やインフラ整備の遅れ、ドーピング問題、そしてジカ熱やテロの不安が言われましたが、テレビ中継で見る限りは、日本人選手の大活躍もあって、スポーツの祭典を楽しめました。

 オリンピックと言えばやはりメダルの争いが気になりますが、参加した205の国と地域の中で1個以上のメダルを獲得したのは87か国でした。ロシアの参加種目が限定された中で、あらゆる種目で活躍し、合計121個のメダルを獲得した米国が目立ちました。

 

 そこでメダルの獲得数はどの統計指標と相関があるか調べました。インド(2個)、インドネシア(3個)のように、人口や一人当たりGDPなどは相関が低く、調べた中で一番相関が強いのは名目GDPと分かりました。

 GDPはその国の経済規模を示し、経済規模の大きさがメダル獲得数に密接につながっているようです。IMFの2015年集計データ(米ドル換算)と2個以上のメダルを獲得した67国のメダル数を両対数グラフにしたのが下図です。

獲得メダル数とGDPの関係グラフ
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 縦軸(Y軸)をメダル数、横軸(X軸)を名目GDP(単位:100万米ドル)とすると、次式の累乗近似線が引けます。

 ちなみに本テーマのデータは指数近似より累乗近似がよくフィットします。

GDPとメダル数との関係式

 近似線より上位に位置するのは経済規模と比較してメダル数が多い国、下位に位置するのは経済規模に対してメダル数が少ない国になります。インド、インドネシア、メキシコ(5個)、台湾(3個)などはあまりスポーツに力を入れていないのかと思われます。

 反対に経済規模より多数のメダルを取ったのはアゼルバイジャン(18個)、セルビア(8個)、ボルトを擁するジャマイカ(11個)が目立ちます。

  メダル数がGDPと強い相関性を持つのは、年々記録が伸びるオリンピックに出場するには、選手の素質や鍛錬の他に、優れたコーチの指導やトレーニング場所の整備、国内外の競技会に参加して、オリンピック出場基準を満たす必要があり、それには国をあげての支援が必要で あり、国のスポーツ振興策と財政力が必要だからと思われます。

 今回の日本チームで特に目立ったのは体操、柔道、レスリングです。体操は高度の技を連発し、団体と個人総合で金メダルを取りましたが、スポーツの技は特許になるのでしょうか。

 体操競技の技名は、 シライ3(後方伸身2回宙返り3回ひねり)のように、最初に国際大会で成功させた選手の名字からつけられる慣習があり ます。

 シライ3は最高度のH難度ですが、特許の対象とはなりません。 これは、「技能」(個人の熟練によって到達し得るもの)であり、特許法上の発明ではないと解釈されます。

 特許法上の発明とは、「自然法則を利用した技術的思想のうち高度なもの」を指すのですが、「技術的思想」の要件として「客観的伝達性」(知識として他人に伝達できること)が必要とされています。

 たとえば、エアークッションのシューズや、2010年に大会での着用を禁止されましたが高速水着などのスポーツ用品やその素材、製造法に関するアイデアは、特許法上の発明となります。

 

 シライ3のような高度な技は、知識として会得しただけで真似できるようなものではありませんが、それでも、かつての「月面宙返り」がそうだったように、いつかは多くの選手ができる技になるかもしれません。

 その一方で、白井選手をはじめとする一流の選手たちによって、より高度な技が生み出されてゆくことでしょう。

 特許の対象となる技術の開発に通じるものがありますね。

株式会社知財アシスト アドバイザーS

本人の希望で匿名の投稿にしています。
本人の希望で匿名の投稿にしています。

アドバイザーSのプロフィール

 学歴:  同志社大学大学院修士課程終了

 職歴: ㈱パナソニックにて機器開発と半導体

開発に従事

専門分野:アナログ電子回路開発、データ処理技術、

 技術英語

趣 味: 街歩き


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