「思考法」にめぐらす

 少し時間が経ってしまったが、筆者のスクラップから紹介したい。

 

 6月2日付け日本経済新聞夕刊の「明日への話題」というコラム欄に、宇宙飛行士の山崎直子氏が「理系・文系」という纏めでいくつかの面白いことを書いている。

 全体は、理系に進む女性の少なさの問題から出発しているが、所々、それとは関連しない示唆が面白い。

 「同じ理系でも、対象を観察して原理を探求する『科学』と、科学の知識を用いて目的を実現するための手法やシステムを作る『工学』とは思考が異なる。」と述べ、その思考法を理系・文系という分け方ではなく、思考法別に整理してみることの提案を行っている。

 筆者は、文化系の出身だが、プラントメーカーに入社し、発電機器を製造する工場に配属され、長く勤務した。

 

 その工場には、その分野では世界に通用する優秀な技術者が多く働いていた。

 文化系の人間からすれば、優秀な技術者というとノーベル物理学賞を受けたような学者を思う。ところが、この工場での世界的なレベルの技術者の思考法は、少し違うと感じたことがある。

 前提条件として、与えられるモノがあり、それに疑問を挟まない。

 また、ものすごい精密な計算をして設計値を出した後に、簡単に余裕率を、経験則として織り込む。相似設計を繰り返し、大型化して、トラブルが起こると、この余裕率を超えた結果というような説明が出てくる。

 良く解らないでいると、ある優秀な役員にもなった事務系の上司からは、「機械工学というのは、多分に経験工学と言っていい点がある」と言われ、少し合点がいった。

  工学を選んだ人のある傾向に気がついて、面白く思ったことがある。 

  それは、読書傾向である。

本の写真

 概して工学を専攻した人は、古典的推理小説が好きで、恋愛小説には、あまり興味を持たない。推理小説というのは、動かし得ない前提条件があり、その下で話が進むからだろうか?

 

 私事で恐縮だが、筆者には、2人の娘がおり、長女は経済学部、次女は土木学科に進んだが、この傾向は極端であった。次女は、高校時代からアガサ・クリスティばかり読んでいた。長女は、恋愛小説を好んだ。

 技術系でも、理学部に進んだ人間は、恋愛小説を好むようだし、文化系でも、法学部に進んだ人間は、推理小説を好む傾向がある。

 

 このように、ある時期からの環境とか興味によって、問題の解決、向かい方が異なる人間がいる。このことが大きな傾向として当てはまるならば、難しい、経験のしたことのない問題解決には互いに異なる発想をする人間を集める事が重要と思われる。

 技術開発や特許に値する財産の検討についても、小さくても違う経験を積んだ人間を組み合わせることが肝要かもしれない。

株式会社知財アシスト アドバイザー 米谷 政勝

米谷政勝のプロフィール

一橋大学商学部卒。
 大手プラントメーカーで発電プラント輸出営業ほか、国内外のプラント事業に従事。特に海外において、資材調達、輸送計画、契約などの経験を積み、技術に関する見識も豊富。
役職者としてのキャリアも長く、幅広い人脈を持つ。
現在は、中小企業のサポーターとして。海外事業展開支援を中心に、様々な事業活動をアシストしている。
専門分野機器輸出入、海外契約、海外調達、経営計画


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